「痛いから動かない」が逆効果になるケース
2026年06月11日

腰が痛い、肩が痛い、膝が痛い。
そんな時、多くの方は「動かさない方が早く治る」と考えます。
確かに、ケガをした直後や強い炎症が起きている時は安静が必要な場合があります。しかし、痛みが続いているにもかかわらず長期間動かさない生活を続けると、かえって回復を遅らせてしまうことがあります。
実際に当院でも、
「痛いから運動をやめた」
「腰が怖くてあまり動かなくなった」
「膝が痛いので階段を避けている」
という方が少なくありません。
しかし、その結果として身体の状態がさらに悪化しているケースを多く見かけます。
人の身体は動くことで血液が循環し、筋肉や関節に栄養が運ばれています。
ところが動かない期間が長くなると血流が低下し、筋肉は硬くなり、関節の動きも悪くなります。
すると少し動いただけでも痛みを感じやすくなり、さらに動かなくなるという悪循環に陥ります。
特に慢性的な腰痛では、このパターンが非常に多く見られます。
腰が痛いから動かない。
筋力が落ちる。
身体を支える力が弱くなる。
さらに腰へ負担がかかる。
そしてまた痛くなる。
この流れが何年も続いてしまう方もいます。
肩こりも同じです。
デスクワークで肩がつらくなると、肩を動かさなくなりがちです。しかし肩甲骨周辺の筋肉は動かさないほど硬くなり、血流も悪化します。
その結果、肩こりや首こりが慢性化しやすくなります。
また、近年は「痛みと脳」の関係も注目されています。
痛みが長期間続くと、脳が「この動きは危険だ」と学習してしまうことがあります。
すると実際には身体に大きな問題がなくても、動こうとしただけで痛みを感じやすくなります。
これを慢性疼痛と呼びます。
つまり身体だけでなく、脳も「動くことを怖がる状態」になってしまうのです。
そのため慢性的な痛みでは、適切な範囲で身体を動かしていくことが非常に重要になります。
もちろん無理は禁物です。
痛みを我慢して激しい運動をする必要はありません。
大切なのは「痛みがあるから何もしない」ではなく、「今できる範囲で少しずつ動く」ことです。
例えば、
- 軽い散歩をする
- ストレッチを行う
- 深呼吸を意識する
- 肩や股関節をゆっくり動かす
- 長時間同じ姿勢を避ける
こうした小さな積み重ねが回復を助けます。
また、自律神経の乱れによる不調でも身体を動かすことは重要です。
運動によって血流が改善し、自律神経のバランスが整いやすくなります。
実際に不眠や慢性的な疲労感、肩こりや頭痛で悩む方の中には、適度な運動を取り入れたことで症状が改善するケースも少なくありません。
「安静にしているのに治らない」
「休んでいるのに痛みが続く」
そんな場合は、動かな過ぎが原因になっている可能性もあります。
痛みの種類や状態によって対応は異なりますが、慢性的な痛みでは安静が必ずしも正解とは限りません。
身体は使わなければ衰えます。
そして適切に動かすことで本来の機能を取り戻していきます。
もし長期間続く腰痛や肩こり、膝の痛みでお悩みの方は、「痛いから動かない」という考え方を一度見直してみてください。
回復への第一歩は、無理のない範囲で身体を動かすことから始まるかもしれません。




